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ドローレスのお庭とコンチャ

El rincón de "La Agujeta"というものを観ました。


「ドローレスの庭」というタイトルで、月に一度ほどでしょうか。ヘレスの歌い手ドローレス・アグヘタの、本当に家のお庭からフラメンコを届けてくれるオンライン生配信企画です。

(ギタリストの俵さんが企画してくださっています)


毎回ちがったメンバーで、濃いカンテ(歌)と現地の本物のフラメンコの香りを届けてくれます。

今回のゲストは、コンチャ・バルガスでした。


ドローレスといえばヘレスの、そしてコンチャはレブリーハの名フラメンコファミリーの生まれ。本物の、ヒターノ(ジプシー)の人たち。

そんな二人が揃うなんて、それだけでワクワク。





冒頭、そして曲間には二人の会話がたくさん聞けました。コンチャは"Viva tu padre! Viva tu abuelo!"と亡くなったドローレスのお父さん、おじいさんをしきりに褒め称えていました(ふたりとも偉大な歌い手でした)。自分の幼少期についても、フラメンコ好きな父を慕って集まっていたアーティスト達(Juan Talega, Antonio Mairena, Fernanda y Bernarda...)との、濃すぎるフィエスタの思い出を語っていました。


ドローレスも、はじめはあまり乗り気でないかな?と見えましたがそんなコンチャに感化されたのか、お父さんが病床で苦しみながら歌ってくれたというシギリージャ(だったかな、たぶん)など歌ってくれました。

そしてその場に居た、産まれたばかり?の孫を抱っこして、シギリージャのマチョを。




なんだなんだこれは…

なんてものを見ているんだ…




フラメンコとは「家」なんだ、と、お二人。

家族や、友人と家の中で日常的に発生するものがフラメンコ。誰に教わるわけでも、ましてや書物を読んで勉強するものでもない(笑)


フラメンコは「vivencia(生きること、体験すること)」だから、と。




私自身、フラメンコはこういうものと分かってはいるものの、今回あらためて再認識。本物のヒターナ二人に、身を持って証拠を示されたかんじでした。説得力がちがいます。



(ここでコンチャ、「ビベンシアを持たない人は昔のビデオを見なさい」、と。その場にいたクーロ(コンチャの息子)に「ビデオと、生で体験するのとでは全然ちがうよ」と一蹴されてましたが。私たちのようにフラメンコ好きな外国人もたくさんいると知っているコンチャだからこその、優しさだと思いました)





そしてもうひとつ、ドローレスの歌を聴いて思ったこと。

ドローレスが歌うと、歌詞の真実味がものすごい、ということです。フラメンコの歌詞のテーマは重苦しいものが多く(死別、裏切り、犯罪など…)日本人からしたら共感することが難しいなぁと思うのですが、ドローレスの歌(叫び?)を聴いていると、本当に彼女、もしくは親しい人に起こった出来事なんじゃないかと納得してしまうほどでした。



昔に俵さんがドローレスの伴奏をする際に「私の伴奏をするなら私の人生について知りなさい」と、せつせつと彼女の話を聞かされた…という逸話を思い出しました。(その時私は、大袈裟なドローレスの笑い話、くらいにしか思ってませんでした)




オンラインなのに、なんだかとても衝撃的な会でした。

長々読んでいただきありがとうございました🍀