こんにちは、フラメンコ舞踊家みのもはるかです。
さて先日(もう先月の話ですが・・・)フラメンコ界の大物が来日、横浜と名古屋で公演を行いました。久々のスペイン人アーティスト来日に、フラメンコ界はにわかに盛り上がりましたね。しかも東京ではなく、横浜!近い!!
というわけで、ほぼ臨月という大きなお腹を引きずりながら私も観に行ってきました。
その大物さんとは、イスラエル・ガルバン。
セビージャの踊り手ホセ・ガルバンの息子。妹のパストーラもめちゃくちゃ活躍してますよね。
そんなフラメンコ一家なイスラエルの公演「春の祭典 La Consagración de la Primavera」が、横浜の神奈川芸術劇場で行われました。
イスラエルの公演を見るのは私自身まだ2回目ですが、彼の芸風は本当に個性的です。
おそらくフラメンコを見たことがない人でも、「フラメンコのイメージと違うな?!」と思うような。今回の演目はギター無し、カンテ(歌)無し。イスラエルと、ピアニスト2名のみというフラメンコでは一般的に見かけないメンバー構成。この3人でバレエ音楽「春の祭典」を、イスラエル流の世界観に乗せて展開していきます。
詳しい内容はここでは書きませんが、もうなんというか、イスラエルの個性と舞台芸術のアイディアとその身体能力に終始圧倒されます。もし私がバレエに詳しい人間で、「春の祭典」というオリジナルのストーリーについて見識が深ければイスラエルの表現しようとする物語的な意図がもっと理解できたのかも・・・?!(そもそもストーリー性なんてないのかも?!^^;)
イスラエルワールドに魅せられる、あっという間の1時間でした。
ちなみに別日には「SOLO」という別の演目も小規模ながらに行われました。こちら、5分でチケット完売したらしい(笑)買えた私は超ラッキー!!
場所はなんと、横浜市役所。
アトリウムといって1階部分がガラス吹き抜けの素敵なスペースになっているところがあり、たまにイベントやコンサートなど行われているそうです。
床に舞台を組み、周りに椅子を置いただけの簡易ステージ。
けれどもほんの5m先にはあのイスラエルが!!ある意味舞台公演を見るよりファンにとっては嬉しい企画でした。
こちら「SOLO」は、その名の通りイスラエルがSOLO(独り)だけ、ミュージシャンも伴わずに彼の肉体とアイディアと愛嬌(笑)から成る、45分ほどのステージ。たった一人でワンステージお客さんを楽しませ続けるなんて、どんな分野の人でも信じられないほどですよね。
けれどもイスラエルはそれをやってのけるし、お客さんも終始、飽きない。
本当に偉大なアーティストだと思いました。
フラメンコの名家に生まれながら、およそ伝統フラメンコとはかけ離れたパフォーマンスを生み出すイスラエル。こちらもなんだか「フラメンコを観に行く」というよりは「コンテンポラリーダンス・アートを観に行く」感覚です。
けれども、彼にとっては彼のやっていることは紛れもない「フラメンコ」なのだと思います。
私たちが単に、「フラメンコとはこうでなければ~」という固定観念に囚われているだけで。彼はそこから自由になり、彼なりの方法で表現しているだけ。。フラメンコって一体何なんでしょうね。
例えばイスラエルにとっては全身が楽器で。(歯とかまで鳴らしてた)
サパテアード(足打ち)ひとつ取ってみても、どんな音色が鳴るかがきっと彼には楽しくて。(砂とか、音が反響するよう改造した板の上で踊るとか、はたまたスニーカーでやってみるとか。
遊び心満載といいますか、フラメンコの無限の可能性を探っているようにも思えました。
リズムすら、観客に掴ませてくれない。
(フラメンコのリズム形式で追おうとしても、上手くいかないです。でもたまにブレリアのパルマしたりセビジャーナス歌ったりしてたし・・・常人のコンパス(リズム)感をはるかに超越しているか、もしくは決まったコンパス・拍子なんて存在しないのか。本当に謎)
という考えがぐるぐる頭の中を巡り、目の前ではイスラエルの妙技とユーモアが繰り広げられ、そしてガラス張りの会場は夕方~夜、、と日が傾いて・・・なんだかノスタルジックで素敵な時間を過ごしました。
コロナ禍、自粛、規制~の息の詰まるような情勢が続く中ではありましたが
久々に心の栄養☆彡いただきました
^^
やっぱり芸術は私たちの生活に必要不可欠ですね!
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