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「ふたり会」を終えて。振り返り後記。

2024年10月26日

牛田裕衣&みのもはるか「ふたり会 vol.3」終了しました。

 

ふたり会は今回で3回目。最初から計画的にシリーズ化しよう、ではなかったのですが

気が付いたらもう3回目。

 

普段のタブラオではできないような、自分たちの心に秘めていた「好き」にトライできる場所。もう10年くらい前、ヘッポコな頃から自分たちを知ってくれているエミリオとマヌエルの懐を借りての機会。あたたかな土台が約束されて、さぁ、何をしよう?と始まりました。

 

 

私とゆいさんはフラメンコの好みがとっても似ていて。スペインでも同じフラメンコのvivenvcia(経験・体験)をたくさん共有してきていて。そのうちのひとつが、得も言われぬ美しさを持つ人たち「festero フェステーロ(歌いながら踊る人たち)」という存在をたくさん目撃してきたことです。

 

歌い手でもなく、踊り手でもなく、普通のひとたち・・・であることも多いフェステーロさん。日常的に、フィエスタ(飲みながら歌いながら)を己の生きる糧とし、見せつけるでもなく独りよがりでもなく、常にアルテ(粋さ)に満ち溢れた自然な美しさを持っています。

 

アカデミーではなく暮らしの中で培われていくような純粋培養のアルテ。

私もゆいさんも、ものすごく憧れつつも触れがたい、そんなジャンルのフラメンコです。ただ、今回は勇気を出してタンゴでやってみようと。

 

 

エミリオとは事前に一度ギター合わせをさせてもらい、そこでたくさんのアドバイスを貰いました。普段ギターに合わせて歌うことのない私たちにとっては、旋律を外さないことももちろん難しいのですが

ヒターノとして生まれ幼い頃からフラメンコのゆりかごの中で育ってきたエミリオから聞く話はどれも目からウロコ・・・!な濃ゆい内容。

タンゴの旋律はこれだよ!ちゃら~ん、とギターを鳴らしてくれただけで不思議とアラブの世界の響きが・・・

 

大好きなJuana de Revueloのタンゴを耳コピしていった私に「CD通りに歌ったってダメだよ」と

エミリオがシンプルに歌ってくれる、それがもう、ものすごくフラメンコで。

 

私たちが気付けていないことがまだ、たくさんあるのだなぁと

なんだかジャングルを苦労して抜けた先には

大海原が広がっていた・・・!!

そんな感覚になりました。笑

 

本番はとにかくもう、感情を込めて丁寧に歌おうと。

写真を見る限り、エミリオもマヌエルもニコニコしながら私たちのやることを受け入れてくれていた。

それだけでもとても嬉しい。

 

披露する場があっても、なくても、

フェステーロ、カンテというジャンルは

今後も大切に学び続けていきたいと思いました。

 

 

 

自分のソロ曲は、普段は踊ることのない挑戦の曲をやろうと思い

選んだのがグァヒーラでした。

 

スペイン留学時代にベレン・マジャに習った、当時からとってもお気に入りだったグァヒーラ、

昔はよく踊っていましたが、だんだんと自分の嗜好が、古き良き土臭いフラメンコ、即興性のあるフラメンコ、に変わっていったこと

グァヒーラはどうしても「かわいい!!」で終わってしまう気がして自分の目指すフラメンコとはちがうと思ってしまって

ここ数年は踊る機会が全くありませんでした。

 

ただグァヒーラ自体は好きだし、スペイン人アーティストたちや先輩たちが心踊る素敵なグァヒーラを踊っているのも何度か目にしたことがあり、ああ、グァヒーラってこういうふうにも踊れるんだ!!!と

私の中でひそかに抱いていた憧れもあり

 

よし、遊び心とか、フラメンコらしい即興の部分も取り入れたグァヒーラが、どうやったらできるか研究してみよう!

 

と始めたのでした。

ブレリアからタンゴのリズムになってコロンビアーナの歌になる、など、漠然と見たことがあった構成が一体どういうことなのかも、解明して、取り入れてみよう!と

図に書き書き・・・

 

12拍子と4拍子の相互変換のトリックに行きついた時の爽快感は忘れられません。笑

 

グァヒーラもコロンビアーナの歌も、まだまだ自分が分かってないことが多く。

(人によって歌い方がものすごく違う・・・!!)

マヌエルに歌ってもらってもやっぱり尺が合わなくて、でもピッタリ合わせなくても違和感わりとなくいけちゃうのがグァヒーラ(のような気がしている)で。


けれどもポイントらしき部分をグッ!と掴めたら、きっとすごくフラメンコになるんじゃないか。

回数重ねて踊り込めば、なにか見えてくるんじゃないか。

ものすごく可能性を感じたグァヒーラでした。また踊りたいな。

 

 

きっとふたりとも一番好きなソレア。

というわけでペアで踊る曲はソレアに即決しました。

 

前半はもう各々が自由に(笑)自分の好きなソレアを踊り合い。

後半のブレリアからは合流。ファルセータ、エスコビージャと、レトラをひとつだけやって帰ろうってシンプルな構成。

 

二人で踊る難しさは、振付として決めちゃうところと自由に残しておくところの加減なのかなと。

あとは人がつけてくれた振付を、ちゃんと自分に落とし込んで踊れるかどうか。もちろん、間違えずに踊れるかどうかも。笑

 

ソレアには二人の事前練習できっといちばん時間をかけました。

時間をかけて踊り込んでも、本番では必ず違うことが起こる!!笑

マヌエルが急に歌いだしてくれたり。

 

でもそれはきっとそのシーンが、歌にふさわしい雰囲気になっていたので。振付に固執するよりもマヌエルの導きに乗るのがきっとフラメンコで。

二人とも抗うことなく、それを受け入れられたのが良かったと思う。そしてゆいさんの、「バモジャー!!(行くよ)」の声で、予定していた流れに戻り。

その辺りのやりとりに、私たちもしかしたら成長できたかな、を感じました。

エミリオが言っていたこと。振付は大事だけど、improvisar(即興)の余地も残して、その時が来たら、楽しむ!!

 

 

ふたり会やろうか、どうしよっか?!って言ってるときは

曲の準備や集客に対する不安が募っていたけれど

終わってみれば、本当に挑戦して良かったと思う。

 

今の自分の「好き」を再確認することができたし、準備にかけてきたこの数ヶ月だけでもたくさんの学びがあったし。

 

きっとこれは、自分と近いフラメンコ感を共有してるゆいさんとだから出来たと思う。単に仲が良い、だけではなく。

 

無計画にはじめて第三回に至ったふたり会だけど、ぜひとも第四回、五回・・・

続けていきたいと思います☆

 

 

PROGRAMA

1. Fiesta por Tangos

2. Solo de Guitarra(Granaína)

3. Bulería Arromanzada -Yui

4. Guajiras -Haruka

5. Solo de Cante(Bulería)

6. Soleá

7. Fin de Fiesta