「ケ ボニータ エスタ トリアーナ」のタンゴ

こんにちは!横浜でフラメンコ教室をしています、みのもはるかです。

フラメンコやスペイン語お役立ち情報のブログをノンビリ更新しています☆

 

 

今日はタンゴの歌の中でも本当によく歌われる「トリアーナ、トリアーナ~」の歌詞について。スペイン語の文法説明も加えながら、日本語に翻訳してみたいと思います。

 

 

≪スペイン語歌詞≫→≪カナ読み≫→≪日本語訳≫→≪語彙≫→≪解説≫の順でお話していきます。

最後に参考動画URLも付けておきますので、ぜひご覧下さい♪

 

 

1 Qué bonita está Triana

2 Cuando le ponen al puente

3 Las banderitas gitanas

 

ケ ボニータ エッタ トリアーナ

クアンド レ ポネン アル プエンテ

ラ バンデリータ ヒターナ

 

トリアーナはなんて美しいのだろう

その橋に掲げる時

ヒターノたちの旗を

 

 

*カナ表記は実際の「アンダルシア発音」で表記しています。

⇒【関連記事】カンテ学習用。アンダルシア方言の発音の仕方

 

 

【語彙】

1 "Qué~":「なんて~なんだ!(感嘆詞)」  bonito/a:かわいい、美しい   

está<estar:~である(状態)  Triana:トリアーナ(Sevillaの街にある地区) 

 

2 cuando: ~する時  le:~に  ponen<poner:置く  

al:a(~に)+定冠詞el  puente:橋

 

3 las:定冠詞(女性形複数)  banderitas<bandera:旗  gitano/a:ヒターノの 

 

【解説】

「橋」とはトリアーナとセビージャ地区を結ぶ「Puente de Trianaプエンテ・デ・トリアーナ」のこと。下を流れるのはグアダルキビル川です。

ヒターノ(ジプシー)たちの多く住んでいたトリアーナ地区。そのシンボルである橋に、ヒターノたちの旗を掲げた様子を讃えた歌詞。

 

*「bandera 旗」はフラメンコの歌詞でよく出てくるのですが、何かを比喩しているのか、それともシンプルに物理的な「旗」なのか。ずっと疑問に思っています。

ご存知の方いましたらぜひコメント欄にお願いします!

 

 

文法

1 「estar(状態が)〜である」。よく形容詞と共に使われます。

感嘆文でなければ

 

Triana está bonita. トリアーナは美しい。

 

 スペイン語の形容詞は修飾する名詞に性数一致しますので、bonitoがbonita(女性単数)になっています。

(そもそも街名に性別があるのか、という疑問もありますが…)

 

 

2 ponenの主語は書かれていませんが、「トリアーナの人々」

 

 

3 banderitasはbandera+縮小辞ita。それがさらに複数形になったもの。

 

縮小辞ito/aはその名詞の「規模が小さいこと」または「可愛らしさ」を表します。

 

形容詞「gitanoヒターノの」が名詞banderitas(女性複数)を修飾してますので、それに合わせて「banderitas」という形になります。

こちらの動画の0:40頃から「トリアーナ〜」の歌が聴けます。

 

 

今後もフラメンコの歌詞やスペイン語についてブログをアップしていきたいと思います♪

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Puente de Triana
Puente de Triana

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コメント: 1
  • #1

    つばさ (火曜日, 15 2月 2022 15:37)

    最終行のヒターノの旗に関して、ロマの旗というものがあります。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Flag_of_the_Romani_people

    この旗は1933年に作られたものの、1971年になるまでは正式には承認されていないようなので、おそらくこちらではないと思われます。

    この曲を広めたLa Niña de los Peines(Pastora Pavon)が1932年に録音したバージョンでは、
    "banderas republicanas" とされていたようです。
    つまり、「共和国の旗」という意味でした。

    しかし、その後スペインは内戦を経験し、フランコ政権による
    独裁政権となります。
    La Niña de los Peinesは、1947年に再度この曲を取り上げています(こちらの録音のほうが現在の私達も触れやすいです)。
    そして、その録音では最後の行を"Las banderitas gitanas"と変えて唄っています。
    このようになった背景としてはおそらく政治的な配慮があったのだろうと考えられています。
    しかし、こういった説明もはっきりとした根拠がなく、推測の域を出るものではありませんので参考程度にお考えください。

    (そうすると、「共和国の旗」とはなんなのか、という疑問がまた湧いてきます。
    このあたりは完全に私個人の想像ですが、写真のトリアナ橋は正式名称を Puente de Isabel Ⅱ「イサベルⅡ世橋」といいます。
    この橋は当時のスペイン女王だったイサベルⅡ世の権威をたたえてその名が冠されました。
    しかし、イサベルⅡ世は国民の不満を招き、各地で反乱が勃発した後、退位・亡命します。
    その後、スペインは第一次共和制へと移ったようですが、その時の様子を実際に表した、
    もしくは暗に示したものではないかと思います。
    何も確証はないのでどうか真に受けないでください。)

    "banderas republicanas" のレトラとして再び唄われるようになるのはフランコの死後以降で、1996年のCarmen LinaresのアルバムAntologíaでも唄われています。